「東ティモール」という国はあまりなじみがないかもしれません。でも、知る人ぞ知る、とてもおいしいコーヒーが採れる場所なのです。
東ティモールは21世紀最初の独立国。独立前は、インドネシアの支配下にありました。しかし、インドネシア政府はあまりこの地のコーヒー生産に熱心ではなく、プランテーションのような大規模開発が行われなかったため、結果的にこの地のコーヒーは、昔ながらの自然農法のコーヒーとなりました。
このコーヒーは、独立後間もないインドネシアの農民たちが、収入を得て暮らしていくための貴重な存在となっています。ぜひ、多くの人に飲んでいただきたいコーヒーです。コーヒーが作られているのは、標高1,450〜1,700メートルの高地。「シェイドグロウン」と呼ばれる、もともと日陰を好むコーヒーの木の周りに高い木を植えて、直射日光をさえぎる方法で作られます。日本からの技術指導も入って作られたコーヒーは、素晴らしい味で、「フェアトレード」を知らない人の中にも継続的に購入してくれるファンがいるほどです。いれてから時間がたってもおいしく飲めるので、ポットに入れて持ち歩くにも最適なコーヒーです。
粉のみのお取り扱い。豆の販売はしておりません。
東ティモールの農民支援、復興支援につながるコーヒー
このコーヒーは、東京の国際支援団体ピースウィンズ・ジャパンというNPOをの支援を受けた生産者が生産し、フェアトレードで日本に輸入されています。
1999年8月、東ティモールの独立の是非を問う国民投票が行われました。このとき、圧倒的多数の人が独立を支持する投票をし、独立派が圧勝しました。
投票の前後、インドネシアからの支援、指示をを受けていると見られる「民兵」と呼ばれる武装集団が、国の各所で破壊活動を行い、公共の建物や民家などを破壊。多くの住民が避難民となりました。東チモールを混乱状態にすることで、再びインドネシア軍が介入し、この国の支配をしようと狙ったのです。建造物を次々に破壊し、農地を荒廃させた民兵たちによる焦土作戦のため、この国の国としての基盤が破壊しつくされてしまいましたマイナスからの国づくりには、多大な困難が予想されました。
99年9月末、国内の混乱を抑えるために多国籍軍が介入。アフリカやアジア各国、イラクなど世界各地で緊急援助活動を行っている援助団体「ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)」もこの地に入り、援助活動を行いました。食料や物資の配給、医療支援、住居の修復など緊急支援的な活動をまず行いました。しかし、独立後にこの国が自立していくことができるためには、もっと長期的な視野での支援が必要です。そこで、PWJではこの国の唯一ともいえる輸出産品、コーヒーに着目。フェアトレードで輸入することにより、農民たちの経済的な自立と支援活動のための資金確保を図りました。
●フェアトレードによるコーヒープロジェクト
ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が支援しているのは、エルメラ県のレテフォホ郡にある村の農民たちです。支援開始当初、インドネシア時代にはあまり省みられることがなかったコーヒーの農園は、あまりしっかりした管理がなされておらず、荒れた状態でした。
東ティモールのあるティモール島は、熱帯に位置し、中央部に高い山地が存在ます。山地は涼しい気候なので、コーヒーの栽培に向いています。また、インドネシアがあまりコーヒーの輸出に熱心でなかかったことから、近代農法の導入がなされず、結果的にこの国のコーヒーは、農薬や化学肥料が全く使われていない、有機栽培のコーヒーということになりました。法律的には、たとえ無農薬であっても、しかるべき機関からの認証がないと「有機栽培」とは言えないのですが、実質的に有機、オーガニックのコーヒーといっていいでしょう。
さらに、大規模なプランテーションが作られなかったことから、ここのコーヒーはみな、「シェード・グロウン」のコーヒーになっています。シェード・グロウンとは、伝統的なコーヒーの栽培方法で、背の高い木の間にコーヒーの木を植える栽培方法のことです。コーヒーの木は、もともと日陰を好む木なので、背の高い木で木陰を作り、そこでコーヒーを栽培するのです。強い直射日光からコーヒーを守ることで、おいしいコーヒーを作ることができます。
これに対しプランテーションでは、品種改良された直射日光に強い品種のコーヒーを、広大な場所にコーヒーの木ばかり植えて育てます。生産効率はこれで各段に良くなりますが、味の点ではシェード・グロウンのものにはかないません。
とはいえ、実際にコーヒーを作っている農民たちには、あまりそのような認識はありません。栽培法や品質管理の点でも、昔から行われている農作業をやっているだけで、技術的な知識が不足していました。これでは、せっかく良いコーヒーができる条件があってもそれを活かし切ることができません。
そこで、PWJでは日本から技術者を招いて研修会を行うことにしました。招かれたのは、(株)珈琲工房ホリグチ代表取締役の、堀口俊英氏。堀口氏は、農民たちに、東ティモールのコーヒーの特長として、次の4点を強調しました。
- 品種改良されていないティピカ種であること
- 標高の高いところで栽培されていること。
- 日陰樹が存在すること。(シェード・グロウンであること)
- パーチメントの乾燥工程が、天日干しであること
ティピカ種のコーヒーは、今世界で広く栽培されている「アラビカ種」の原種に近いコーヒーと言われています。甘味と清涼感のある味でとてもおいしいコーヒーですが、シェードツリーが必要でプランテーション栽培ができず、病害に弱いので生産性は高くありません。
東ティモールのコーヒーは、1,450〜1,700メートルの高地で作られます。高地の涼しい気候はコーヒー栽培に適し、高さ20〜30メートルになるシェードツリーが強い日射からコーヒーの木を守ります。
これがおいしいコーヒーを作るため大きな条件になっています。
良い条件が揃っている一方で、農民には栽培や加工の技術や知識、それに顧客となる消費者がどんなものを望んでいるかといったマーケティングの知識がありません。指導にあたった堀口氏は、剪定作業が必要なこと、コーヒーの木が古いこと、農園の手入れがされていないこと、精製工程に問題があることを指摘しました。
●手間のかかる作業
東ティモールでは、工業的な生産が行われていないので、収穫後のコーヒーの加工は手作業で行います。加工方法は、今までの農民のやり方では品質の高いコーヒーの製造ができないため、PWJのスタッフによる指導が行われ、おいしいコーヒーが作れるようになりました。
PWJでは、農民には赤い熟した実だけを収穫するように指導します。未熟な緑の実が混じると、カップにそそがれたときのコーヒーの味が低下するからです。
収穫された赤い実は、すぐに皮むき機(人力)にかけて皮をむかれます。その後水に40時間漬けて発酵させます。発酵すると豆の周りにぬめりがつくので、それを水洗いで取り除きます。ぬめりが落ちた豆は、広げられて天日で乾燥させます。こうして乾燥させた豆の内殻を、「パーチメント」と言います。
パーチメントが機械ではなく、天日乾燥しているところが、大産地にはないここのコーヒーの特長で、おいしいコーヒーのできる条件の一つになっています。
パーチメントは、厳重に水分管理が行われます。最適な水分は12パーセントとされています。水分量は機械でないと測れないため、日本から持ち込んだ測定器で測り、最適な水分になるまで乾燥させます。このパーチメントをさらに脱穀して殻を取り除いたものがグリーンビーンズ(生豆)です。これを焙煎すると、私たちが普段目にする黒いコーヒー豆になります。
収穫した赤い豆(レッドチェリー)からパーチメントを経てグリーンビーンズになるまでに、重さは8分の1くらいになってしまいます。100kg豆を収穫したら12キログラム程度になってしまいます。コーヒー作りは、とても手間のかかる作業です。
PWJでは、このほかにも、日本から野菜の種を持ち込み、栄養状態の良くない農民たちが野菜を食べられるよいうにすることで、乳幼児や老人などの抵抗力の弱い人たちが病気などで死亡するのを防いでいます。
東ティモールの農民たちの暮らしを支え、味も素晴らしいのが、このピースコーヒーです。
原材料:コーヒー豆
内容量:250g
原産国(生豆生産国):東ティモール
挽き方:中細挽き




